母が珍しく布団へ向かいながら『明日もよろしくね』と言った。
今まで私にそんなことを言ったことはない。妹には言っていたかもしれない。
それを聞いてなんとなく嫌だなぁ…と感じた。明日には会えないような気がして。しかし気のない返事をするのはそぐわないように感じて、『おやすみ、また明日』と返した。
今まで言わなかった、もしくは言えなかった事を今言うと言う事は最期を近くに感じているからのように思える。
確かに近い事は間違いないと思う。
歩けるものの遂に階段を登ることが出来なくなったように出来なくなることが増える。そうしたらいずれは寝たきりとなってしまう。母にはそれがもう死亡に直結する。血が巡らなくなり褥瘡が出来れば感染症を起こし死ぬ、と医師にに既に言われている。
身体を自由に制御出来ない事そもそもが常に危険と隣り合わせで、骨折や様々な箇所の内出血、血栓が出来、脳や心臓、肺の血管につまる等。死亡リスクが常に高い。
でもきっとそれだけではなく、自分の身体に限界が来ていることをなんとなく察知しているような気がする。
もう1日を越えるのが精一杯と言うことなんだろうと思う。
今年は急激に寒くなった。本当に冬は越せない気がする…。